くりや苑では、開苑時より作業療法士1名が機能訓練指導員として勤務していましたが、平成30年4月より理学療法士が1名増員となりました。現在、理学療法士2名が入居者さんの生活リハビリを行っております。
入居者さんの生活の場としてある特別養護老人ホームくりや苑では、病院や老人保健施設のようなリハビリ室はありませんし、訓練に必要な器具もありません。なぜなら、自宅にいて日々の生活をする中で、意識的に「訓練をする」ということはほとんどないと思われるからです。「訓練をする」ということは大変きつい思いをしなくてはなりません。きつい、苦しいと思うことなく、日々の生活をあたりまえに無理なく安心して暮らしていただきたいと考えています。
そこで、くりや苑では主に以下の4つの視点でリハビリを捉えています。
1.生活は、「食事」、「排泄」、「入浴」の3つに集約され、これは3大介護と言われています。生活をしていく中で、例えば「ベッドの上で誰かに食べさせてもらう」ことと、「テーブルについて椅子に座って食べる」では、後者の方がよりあたりまえであると思います。このあたりまえに少しでも近づけるように、まずベッドから離れて座ろうという取り組みをはじめました。「ベッドから車椅子に座る」「車椅子から椅子に座りかえる」ときに2回ほど立ち座りの動作を促し、また、トイレに行けばその都度「便座に座りかえ」「車椅子にもどる」と2回ずつ立ち座りの動作が増えます。
入浴の際には「服の脱ぎ着」「車椅子からシャワーキャリーへの座りかえ」「浴槽への出入り」など複合的な動作も必要になります。このように、日常生活の中で身体を動かすことで生活のリズムを整え、寝たきりを予防することをまず第1のリハビリとしています。
2.つぎに、自分で意識的に身体を動かすということも大事です。誰かにやってもらうリハビリより、自分でやるリハビリの方がより効果が大きいです。そこで決められた曜日、決められた時間に各ユニットに療法士が訪問して体操をしています。また、月に1度全ユニットを対象に地域交流室にて集団リハビリもしています。前に立って声をかけながら療法士が行い、その動きをみながら真似をするように自分で動かせる範囲内で運動をする。自分で動けなくてもその場にいて、いつもと違う雰囲気のなかで過ごすだけでも繰り返し参加するうちに自然と身体を動かしたくなる気持ちが出てくれることを期待しています。これが第2のリハビリです。
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